住宅ローンについて、申込み時から支払いにいたるまで、その流れの中で必要な書類や考え方をご紹介していきます。
住宅購入は人生の中でも大きな買い物になるので、ある程度の流れは知っておきたいところです。
また、変動金利と固定金利についても触れているので、いざどちらかを選択するという状況になった時の参考にしていただければ幸いです。
最終的には、個人で決めるより、ファイナンシャル・プランナーなどと相談しながら決めていかれる方が多いと思いますが、知識を身につけておいて無駄なことはないので、どうぞご覧下さい。
※この記事は約5分程度で読めます。
住宅ローンを申込む前に必要な書類等
住宅ローンは、民間の預金取扱金融機関(以下、取扱会社)で取り扱われています。
取扱会社によって、貸出金額・年収・勤続年数・年齢・頭金などの条件を個別に設定しています。
団体信用生命保険の加入も、条件として考慮されます。
これは、返済者が返済途中に死亡もしくは高度の障害を負った場合、保険金によってローン残額が返済されるためです。
保険料は、借入残高や借入期間によって差がありますが、金利に上乗せされることが一般的で、ローンの返済と別に支払う必要はありません。
申込み時に必要な書類を挙げると、所得を証明する書類・住民票(家族全員記載のあるもの)・印鑑証明書・健康保険被保険者証(写)・本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)が一般的です。
ただし、取扱会社によって違いがあるため、確認が必要となります。
物件に関して必要となる書類は、売買契約書(写)・工事請負契約書(写)・重要事項説明書(写)・パンフレット・販売図面・建築確認通知書(写)・土地/建物登記簿謄本・建物図面・各階平面図・地積測量図/公図・土地の実測図となります。
これらの書類は、物件が建物新築・土地付住宅・マンションによって異なり、こちらも確認が必要です。
住宅ローンで必要な諸費用は、住宅ローン保証料・融資事務手数料・印紙代・抵当権設定登記費用・抵当権設定登記手数料・団体信用生命保険料・火災保険料・地震保険料などです。
契約書1通ごとに収入印紙を貼り、消印することで印紙税を納めたことになります。
抵当権設定登記費用とは、登記を行う際に登記印紙で法務局に納める費用です。
同時に、司法書士に支払う抵当権設定登記手数料が必要となります。
住宅ローンを利用して抵当権を設定する場合、法務局への登記申請を司法書士に依頼する際は、報酬として抵当権設定登記手数料を支払います。
住宅ローン保証料は、返済が不可能となる事態に備えて、連帯保証人の代わりとして、保証会社に保証を依頼する場合に支払う費用です。
火災保険の基本料率は、建物の所在地や構造、その用途によって決まります。
地震保険の基本料率は地域によって地震発生率が異なるため、都道府県ごとに4種類に分け、等地によって決まります。
変動金利と固定金利
ローンには金利があり、変動金利と固定金利があります。
変動金利は完済まで取扱会社が定めた期間、変動する金利で、固定金利は貸出時から一定期間、固定された金利となります。
変動金利は金利の見直しが半年に1回行われますが、返済額の変更は5年に1度です。
固定金利期間の終了後は、改めて変動金利か固定金利を選ぶことになっていますが、一部の取扱会社に例外があるため、確認が必要となります。
変動金利と固定金利の違いとメリット・デメリット
金利が変動するタイミングは半年に1度です。
取扱会社によって違う可能性は否定できませんが、多くの場合、4月、10月に金利が変動します。
場合によっては、金利が変わらないこともあります。
金利は、短期プライムレートという指標を基準に変動させています。
短期プライムレートとは、取扱会社の業績や財務状況が良いなど、融資する上で問題ないとする企業に対して、1年以内の短期間で貸し出す際に適用する金利です。
日本が政策金利を上げれば、短期プライムレートも、その影響を受けて上がります。
短期プライムレートが上昇した場合は、住宅ローンの変動金利における金利も上がります。
変動金利は、国の政策金利や短期プライムレートの変動に関連しています。
変動金利の指標が、短期プライムレートではないという資金コストや営業コストなどの取扱会社もあります。
変動金利で住宅ローンを申し込む場合は、短期プライムレートを基準に金利を計算しているのか否か、取扱会社の住宅ローン商品説明書を見ることで確認することができます。
住宅ローン返済額は、返済する元金に利息を加算して算出されます。
金利が変動すると、それに合わせて返済額も計算し直されます。
変動金利のメリット
変動金利のメリットは、その金利の低さにあります。
WEBサイトの主要各国政策金利表で、金利を確認することができます。
返済額を揃えると元金が早く減り、返済を早く終えることができます。
変動金利のデメリット
変動金利のデメリットは、金利が変動することによって、返済額の正確な計算ができないことです。
そして、金利が変わっても5年間は返済額が変わらず、返済額の元金と利息の内訳が変わります。
金利の急激な上昇があった場合、毎月の返済額より住宅ローンの利息が高くなると未払い利息が生じることになります。
未払い利息は、精算する必要があります。
取扱会社によって違いはありますが、一般的に住宅ローン完済後に一括返済を行ったり、未払い利息が生じた翌月に、前月の精算をしたりする方法があります。
また、未払い利息を精算するために、住宅ローンの返済を中断する方法もあります。
長期金利の指標は常時、市場の動向によって変動しています。
例えば、物価の高騰によって景気が過熱した場合、日本銀行が金利を下げて、通貨供給量を減らすインフレ抑制を行います。
長期金利の指標は、10年国債利回りです。
国債利回りが上昇すると、固定金利の場合、住宅ローンの金利も上がります。
固定金利の住宅ローン金利が上がり、政策金利が上がれば変動金利が上がるため、固定金利から変動金利へ変更するということはできません。
変動金利が上がる時には固定金利が既に上がっているため、このような変更は認められません。
このことを最初に知っておく必要があります。
住宅ローン返済に向けて有識者の意見も参考に
それぞれのメリットについて、変動金利の場合は、固定金利に比べて金利が低く、金利の低下時は、住宅ローンの金利も下がるため、返済額が減ることにあります。
固定金利の場合は、金利が上昇した場合であっても、返済額に変化はありません。
また、それぞれのデメリットについて、変動金利の場合は、正確な返済額を事前に計算できないことです。
固定金利の場合は、金利が低下した時でも住宅ローンの金利と返済額が変わらないことです。
例えば、3,000万円を30年かけて2%の固定金利で返済する場合、月々の支払いは110,885円、総額は39,918,769円になります。
同様に3,000万円を30年かけて返済する場合で1.0%の変動金利で計算すると、月々の支払いは96,491円、総額は34,736,908円になります。
金利が0.5%に変動した場合、月々の支払いは89,756円、総額は32,312,288円になります。
反対に、金利が1.3%に上昇した場合、月々の支払いは100,681円、総額は36,245,144円になります。
5年間は返済額が変わりませんが、返済額の元金と利息の内訳は変わります。
例えば、利息に回る金額が増え、元金の返済に回る金額が減るというデメリットのケースもあります。
変動金利のリスクは借りた側にあると言えます。
一方で、部分的あるいは一括で残金を支払うことで、早く返済が終わるというメリットもあります。
物件を選んだ理由やライフスタイル、勤続年数など、様々な要因と併せて住宅ローンを検討することが大切です。
損得勘定だけでは、変動金利が良いか固定金利が良いかの判断が難しくなる可能性もあります。
人生の中で、数少ない大きな買い物となるので、金額はとても大事ですが、数値だけではなく様々な情報を取得して、無理のないローン返済計画を検討していくことがポイントとなります。
ファイナンシャル・プランナーに相談する
また、WEB上の情報や返済シミュレーション機能の利用だけでなく、ファイナンシャル・プランナーに相談するという方法もあります。
依頼者から収支・家族構成・資産状況などの情報を得ることで、住居などライフプランに沿った資金計画やアドバイスを提供してくれます。
モーゲージプランナーに相談する
モーゲージプランナー資格を持ち、住宅ローンに特化したファイナンシャル・プランナーも近年では増加傾向にあります。
モーゲージプランナーとは、消費者の立場で中立公正な住宅ローンのコンサルティングを行うことができる民間の資格です。
住宅ローンの返済について、相談者となるライフプランやキャッシュ・フロー分析などを検討し、長期にわたって無理のないような返済ができる計画を立案したり、アドバイスを行ったりすることを目的としています。
こういった資格を持つ人に相談するのも、一つの手です。
まとめ
住宅ローンについて、申込み時に必要な書類や変動金利、固定金利の違いなどをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
住宅を購入するというのは、人生においてそんなに何度もあることではないので、できれば失敗することなく、順調に返済を終えたいものです。
そういった意味でも、あらかじめどういったプロセスを経て、どのくらいの返済額になるのかなどを把握しておくことが大切です。
もちろん、ファイナンシャル・プランナー等に相談すれば、わかりやすく教えてくれるので、過剰に心配する必要はありませんが、自分自身でもある程度予備知識を身につけておくことで、よりスムーズな住宅購入が可能になるでしょう。
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